unknown

フィクションであれ

20220929

たまにセックスする人が働いているバーに行くと初めの1時間くらいは私一人だったのがちらほらお客さんが来るようになった。手持ち無沙汰だったので3回目のノルウェイの森の上巻を読んでたら笑われた。というのも、「なあに小説読んでんのよ」って感じで。あんたが知らない私がまだまだあるんだよ、と思いながら私本読むの好きなんだよねえ、と言っといた。なんで本読むの?って聞かれたから、現実逃避だよと答えておいた。他に趣味は?と聞かれたから、私は趣味のない人が趣味を聞かれて取ってつけたように答える3つが趣味なんだよね、と言って、読書と音楽鑑賞と映画鑑賞を答えた。本当にそうなんだよ。音楽何聴くの?と聞かれたから、ええいと内心呟きながら、ちょっと悩んで、カネコアヤノを教えた。私が今も好きな別れた恋人に教えたのと同じ人。あなたはカネコアヤノの名前を聞くたび、カネコアヤノの音楽を聴くたびに私のことを思いだすはずだと、よくいう花の名前を教えるような思いを託して私が恋人だった彼に教えたカネコアヤノをお兄さんにも教えた。別に私はお兄さんのことが好きなわけではないけど、なんだか、特別な関係になった人に私を植え付けるような行為をよくしてしまう。あの人も、わからないけど、いつかどこかでカネコアヤノと再会したら、あああの子が言ってた人だくらいには、いや、誰かに教えてもらったことあるな、くらいには思うはずで、もしかしたら、その時隣にいる好きな誰かにこの人の音楽が好きでさ、とか、そういうことも言うかもしれない。めちゃくちゃいいと思う。幸せになってほしい。その好きな人とは、セックスするときちゃんとコンドームをしてほしい。いびきかいてたねと、同じベッドで朝起きて笑われて、すごく恥ずかしくなればいいし、寝ぼけながら私にキスしてたよ、寝ぼけながら私の手を探して見つけて、繋いで寝たよと言われて、それくらいに君が好きなんだよと、好機の言い訳に思いを乗せて愛を、その人に伝えたりしてほしい。全員、私の知った人も知らない人も、幸せになってほしい。私が引きずるあなたも、幸せになってほしい。私はもう自分で私を幸せにするつもり。

いちばん綺麗な氷見せて、ってお願いしたら見せてくれてありがとう。すごく綺麗だった。